家業に入り、
「将来は継ぐかもしれない」という立場に立ったとき、
それまで感じたことのない
孤独や不安に直面することがあります。
私は新卒でコンサルティング会社に入社し、
その後、父親が経営する会社に
二代目候補として入社しました。
本記事では、
経営者候補という立場だからこそ生まれる孤独と不安について、
当時どのように捉えていたかを
構造的に整理します。
経営者と「候補者」では孤独の質が違う
まず前提として、
経営者と経営者候補では
背負っている責任の質が決定的に異なります。
経営者は、
会社の存続や重大な判断について
最終的な責任をすべて引き受ける立場です。
一方で、
二代目候補や役員という立場は、
一般社員より責任は重いものの、
最終的な判断と責任は
社長に委ねることができてしまいます。
この違いは、
「孤独の深さ」にも影響していると感じていました。
「本当に自分が継ぐのか」という不安
経営者候補という立場にいると、
ふとした瞬間に
次のような不安が頭をよぎります。
- 本当に自分が社長になるのか
- 他に適任者がいるのではないか
- いつまでこの立場なのか
特に、
社内に優秀な同年代の社員や
信頼されている古参社員がいると、
その不安は強くなります。
これは能力の問題というより、
立場が曖昧であることから生まれる
構造的な不安だと感じていました。
「自分でなくてもいい」という考え方
こうした不安に対して、
私が意識していた考え方があります。
それは、
会社にとって最善であれば、自分が社長でなくてもいい
という視点です。
父親が長年かけて築いてきた会社にとって、
誰がトップに立つかは
本来、個人の感情よりも
会社の存続が優先されるべきだと考えていました。
自分より適任な人がいるなら、
その人が社長になる方が
会社にとっては健全かもしれない。
そう考えることで、
「継がなければならない」という
プレッシャーから
少し距離を置くことができました。
肩書きだけでは意味がないという実感
仮に
「明日から社長だ」と言われたとしても、
それだけで会社が回るわけではありません。
従業員や取引先から
信頼されていなければ、
肩書きだけのトップになってしまいます。
そのため、
役職や将来の地位よりも、
- 実務をどれだけ理解しているか
- 周囲からどう見られているか
- 判断や行動が信頼につながっているか
こうした積み重ねの方が
重要だと感じるようになりました。
従業員との価値観の違いが生む孤独
経営に近い立場になると、
「会社全体」を優先して考える場面が増えます。
一方で、
多くの従業員は
自分自身や家庭の都合を
優先して行動します。
この価値観の違いは、
頭では理解していても、
感情としては
孤独を感じやすい部分でした。
ただし、
この違いは
どちらが正しいという話ではなく、
立場の違いによるものだと
整理するようにしていました。
「味方」を増やすという視点
経営者候補として孤独を感じたとき、
意識していたのは
会社全体を変えようとすることよりも、
自分の考えや姿勢に
共感してくれる人を増やすことでした。
すぐに
全員の価値観を揃えることはできません。
それでも、
日々の行動や判断を通じて、
少しずつ信頼関係を築くことが、
結果として
自分自身のメンタルの安定にも
つながっていたように思います。
まとめ
二代目経営者候補が感じる孤独や不安は、
個人の弱さではなく、
立場そのものが生み出す構造的なもの
だと感じています。
- 最終責任を負っていない立場
- 将来が確定していない状態
- 周囲との価値観の違い
これらが重なることで、
独特の不安や孤独が生まれます。
それを無理に消そうとするのではなく、
「そういう立場にいるから感じるものだ」
と整理できるようになったことが、
当時の自分にとって
大きな支えになっていました。


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